PICK UP
  立川市で生活する立川人とFARET TUBE 2010に参加している様々なアーティストの方の対談を掲載します。
   立川市のあらたな魅力やアーティストの意外な一面を知れるかも。


第5回
「立川市を知る」
第4回
「新しい情報発信ツールの
        展開と可能性」
第3回
 「サブカルチャーと立川
第2回
 「立川市の
   イメージと現状

第1回
 「ファーレ立川の
   魅力について




立川市を知る

立川商工会議所会頭 萬田貴久さん × 参加クリエーター 坂野友軌さん







現在、上京して立川市に在住している坂野さんと立川市の変化をずっと見続けていた萬田貴久さん。
2つの視点から見る立川市とは。


―――――早速ですが、おふたりにとって立川の魅力とは何でしょう?
萬田 立川は、駅から出れば百貨店、スーパー、専門店などの施設が集積していますでしょ。こういった施設が駅周辺にまとまっているのはめずらしいんですよ。立川は鉄道を中心に発展した街だから、駅から広がっていっているんです。また、都市的なところだけでなく、玉川上水や昭和記念公園といった郊外の魅力もあるのが立川の魅力だと感じます。
坂野 全く同じことを考えていました。僕は名古屋出身なのですが、名古屋の中心部より駅前が栄えていて驚きました。だけどすこし歩いただけで自然が豊かになって。とにかく便利ですごしやすい街だな、と感じました。

―――――では、古くからの立川を知る萬田さんご自身の「立川愛」の源は何だと思われますか?
萬田 実は、あまり立川愛を意識したことがありません。私は立川生まれなんですよ。しかし立川は他の地域から来た人が多いんです。なぜかというと、昔、甲武鉄道が開通して周辺から人が集まるようになって、その後、岐阜から陸軍飛行第五大隊が移駐されたことで軍事工場がたくさんできて、更にいろいろな土地から人が集まってきた。だから、立川愛というよりも、むしろ県人会が多いんです。つまり、街全体が排他的ではなく、なんでもウェルカムなんです。立川はずっとそういう雰囲気をもっているように感じます。
坂野 そうですね。いい意味で地域性というのを感じない街だと感じました。8月のお祭りのときに、神輿を担いでいる人たちがとても地元愛をもっていることに気がついて、地域性の強さと地元愛というのはイコールではないのだと気づかされました。
萬田 立川愛とは、しばらく住んでから気がつくものなのではないかと思いますね。私の子どもたちの間なんかでは、昔は評判がよくなかったんです。でも、彼らが大人になって子どもができてから、親同士で集まるときに、東京中から立川に集まってくるようになるんです。そういった人たちは、立川がこんなに都会だと思っていなかったと言っています。立川の人たちが、その魅力に気付きだしたのは、ここ20年くらいかな。私も周りの人に「立川最近、すごく発展してきているね」と言われてやっと気がついたくらいでしたから。

―――――先ほど開発前のお話が少し挙がりましたが、この地域のアート計画はどういった運びで実現されたのでしょうか?
萬田 ファーレ立川ができるまでは、この辺は米軍基地の正門だったんですよ。だけど基地が日本政府に返還され、跡地利用の一つとして、住宅都市整備公団(UR)が再開発をした。アート計画に関しても公団と市で決めたようなものでした。基地のあった頃は、日本人の入ることのできない地域でしたから。今は、有楽町・丸の内などのいろいろな地で彫刻が立っていますよね。そういった、ハコモノではない文化政策の先鞭を切ったものだったと思います。

―――――立川の魅力のひとつであるファーレ立川の作品を映像に取り込むことについていかがお考えですか?
坂野 今回は、自分ひとりの作品ではなく、もともと他の人が創ったアート作品をつかって映像作品を制作するということで怖さも感じています。作品を創った人の意図や設置した方々の気持ちに反するものを作ってしまうのではないか、と。ただ、僕はアート作品がポツポツおいてある街そのものに魅力を感じたので、作品ひとつひとつをフィーチャーするのではなく街全体をアピールできるようなものにしたいと考えています。
萬田 それぞれ自由に表現してもらえればいいですね。私自身、作品を制作したりはしないのですが、文化芸術まちづくり協議会の会長になってからアートをやっている人と触れ合う機会が増えました。そういった中で、それぞれが自身の感性で、それぞれの自己実現のためにやっているんじゃないかと気がつき、干渉しないようにしようと思うようになりました。
先ほども言ったように、立川は許容性があります。だから、新しいことをどんどんやってほしいと考えています。一歩先を行く街にしたいと考えているので、みなさんにも一歩先を行くことに挑戦していってほしいですね。

―――――私たち立川計画も、参加アーティストの皆さんの手によって、立川の街の新しい魅力に出会えることを楽しみにしています。







編集後記
立川のことを伺うと、私たちの知らないお話をたくさんしてくださった萬田さん。立川愛を感じました。それぞれ立川歴は違っても立川に対する想いにはどこか共通する部分があり、どんな世代にも通じる立川の魅力を再確認することができました。




文:立川計画 野島



次の記事  前の記事

 

inserted by FC2 system